【読書感想】ライフスパン 老いなき世界のレビュー
ライフシフトの感想で自分たち世代は50%の確率で102歳まで生きると言いましたが、この本としてはそれはかなり控えめな推定だそうです。
120歳まで生きるし、なんなら22世紀には150歳まで生きることが普通になると書かれていました。
(最終的には生物学的な上限の存在しない段階まで行くのだとか)
なんでそんなことが言えるかというと、筆者が老化機構の研究をしていて、老化の仕組みを見つけたからだそうです。
筆者が見つけたのはサーチュインという遺伝子で、簡単に言うと2つの機能を持っているそうです。
1つ目はDNAの損傷を治す機能。
2つ目は特定の遺伝子の発現を抑える(ヒストンを脱アセチル化してエピジェネティックに抑制する)機能です。
2つ目は具体的には細胞の増殖(生殖)に関わる遺伝子を抑えています。
「環境が良いときは細胞を増やして、悪いときは増やすと悪影響が出るので抑制する」
というイメージみたいです。
老化とサーチュインの関係について説明すると、
まず、普通に細胞が増えるときや、紫外線、化学物質、その他体に悪そうなものの影響により、DNAが損傷します。
これを治そうとしてサーチュインがもともと存在していた持ち場を離れます。
すぐ修復をして元の持ち場に戻ることができれば良いのですが、
DNAの損傷が多すぎるとそうは行かなくなり、元の場所に戻れないということが起きるそうです。
これにより、環境が悪いのに細胞の増殖を止めることができず、悪影響が出て、
細胞のアイデンティティが喪失するそうです。(違う組織になっちゃうとか)
そして細胞は老化し、病気となり、死んでいく。
と言っていました。
このような仕組みが判明したことにより、
サーチュインを活性化させれば若返る。
ということも判明してきているようです。
ちなみにプチ断食をしたり、比較的激しい運動をしたり、適度なストレスを与えると活性化するみたいです。
それはしんどいですよね。
でもサーチュインを活性化させる薬みたいなのもどんどん出てきているみたいです。
具体的にはNAD(nicotinamide adenine dinucleotide)関連のものです。
サーチュインを活性化するためにも必要だそうです。
このNADの前駆体である、NMN(nicotinamide mononucleotide)のような物質を摂取すると若返るのだとか。
こういった理由から、150歳まで生きれるかもよ
という本でした。
ライフシフトの親戚みたいな本かと思っていましたが、がっつり生物学の本でした。
めちゃくちゃ分厚くて読むのに10時間くらいかかりましたので、
なかなか根気がいる本ですが、絶対ためになると思います。
生物学を学んでいて健康に興味がある人(もしいるのならば笑)におすすめです。