【読書感想】地球の未来のため僕が決断したこと 気候大災害は防げるのレビュー【ビル・ゲイツ】
世界の温室効果ガス排出量は、CO2換算で年間510億トンであり、
今排出した温室効果ガスの5分の1は1万年後にも残っている計算になるそうです。
つまりこのままでは地球は温まり続けるので、
排出量は「ゼロ」にしなければいけないし、最終的には「マイナス」にして、大気中から除去する必要も出てくる。
という話の本になっています。
・概要
ビル・ゲイツはマイクロソフトの創業者で、IT系の技術者の出身ですが、
エネルギー貧困の問題から、気候変動にも興味を持ったそうです。
そこから学んだことをもとに、なぜ「ゼロ」が必要なのかを説明する。
また「テクノロジーマニア」として、温室効果ガス排出の5つの原因である、
ものを作る、電気を使う、ものを育てる、移動する、冷やしたり温めたりする、
というテーマに沿って、最新の技術を紹介する。
そして個人としてできることを提案しています。
「ゼロ」が必要な理由と関連して衝撃だったことは、
最近暴風雨が増えているのは暑さが原因(温度の上昇により地表からの水の蒸発量が増えるため)ということや、
そういった気候変動による被害の大きさは、コロナが10年に1回発生するほどであるといったことです。
コロナなんて1回発生しただけでとんでもない被害が出ているのに、
それが10年毎に起きるくらいの被害だなんて、、、
もっと気候変動について関心を持たないといけないなと思いました。
また、テクノロジーの面では、再生可能エネルギーの利用が叫ばれています。
ですが、化石燃料やガソリンが安いことや、
再生可能エネルギーは間欠性(時間帯によって発電量が変動すること)があり、バッテリーに貯めるコストも必要になることなどにより、
再生可能エネルギーに変えることによるコストの増加、「グリーンプレミアム」が生まれてしまいます。
太陽光も風も常にあるわけではないですもんね。
技術の革新や、炭素税の導入などによって、「グリーンプレミアム」を下げていくしかないよね
といった感じの結論にはなっていました。
そしてそのなかで個人でできることとして、
・政治に参加する:気候変動に取り組む政治家に投票する、取り組むならあなたに投票しますよと手紙や電話をする、いっそのこと自分が出馬する
・需要側の意思表明:電気自動車を買ったり植物由来のハンバーガーを食べてみたりして需要をアピールすることで、企業に開発のインセンティブを与える
といったことなどが挙げられていました。
・感想
CO2削減!とよく言われていますが、
削減ではなくゼロにしなければいけないし、むしろマイナスにもしなければいけないんだな、
という意識が生まれました。
エネルギー業界の問題点なども理解することができ、読んで非常にためになった本でした。
万人におすすめできる本ではないかもしれないですが、
農学部とか、環境に興味を持っている人は是非読んでほしい1冊です。